子どもの頃、列車の先頭車両に陣取って正面からの景色を楽しみ、車両を操る運転士の姿に憧れた人もいると思います。鉄道の運転士になるには時間が掛かりますが、採用の際の上限年齢引き上げもあり、転職して運転士になる人も出て来ています。
団塊世代の鉄道運転士が定年退職したり、志望者の減少を背景に運転士が不足しており、鉄道会社では運転士の中途採用を行うところも増えてきました。運転士不足以外にも自社で運転士をイチから長期的に養成するよりも中途で経験者を採用したほうが経費がかからないということもあるようです。未経験でも運転士になるチャンスはありますが、運転士になるには時間が掛かるため、若いうちから転職することをおすすめします。
運転士を志望してもいきなり運転士になれる訳ではありません。最初は駅員として改札業務やお客様の対応からスタートします。それを最低1年ほど続けた後登用試験を受けて、車掌になります。車掌として乗務しながら免許取得に挑戦し国家試験を受けて合格して、晴れて運転士になることが出来ます。運転士になるまでには3年から5年かかるのが一般的です。近年では女性の運転士も増えています。
鉄道運転士の免許にもいくつか種類があります。鉄道運転士の免許は「動力車操縦者免許」という国家資格です。この資格を受けるためには筆記試験の他にも実技試験があるため、国土交通大臣指定の施設で約9ヶ月の教習を受ける必要があります。免許の種類によって運転できる列車が変わります。電車の場合は「甲種電気車」、路面電車は「乙種電気車」の免許です。免許取得後も先輩運転士の指導の下、実地訓練が続きます。実際の列車に乗務することで正確なダイヤで運行する訓練を行います。通常は一年ほどで独り立ちします。新幹線の運転士はさらに勉強と技能の向上が求められます。免許を取った後もキャリアアップのために努力が必要です。
近年では列車に車掌が乗務しない「ワンマン運転」や車両の進化に伴う制御の自動化が進んでいます。そのため、たくさんの乗客の命を預かり定時運行を行う運転士の仕事には大きな責任があります。車両が故障したり事故が起きたときの対応も運転士の仕事になります。そのため、責任感のある仕事をしたい人に適した仕事だといえます。